5年制の高専に入学すると、「将来の選択肢が狭まるのではないか」と心配する方もいますが、そのようなことはありません。
高専を卒業後に大学に編入することは可能ですし、実際に、毎年大勢の高専卒業生が大学に編入しています。

高専を卒業して、東大に編入する人もいるんだって。



え~…すごいね!
制度上、高専生は大学の編入枠を利用できるようになっているのです。
では、高専卒業生は実際にどのような大学に編入しているのでしょうか?
この記事では、高専からの編入実績のある大学50校をご紹介するとともに、編入についての概要をお伝えします。
- 高専受験を考えている方
- 大学編入を希望している方
- 就職か進学かで迷っている方
この記事は高専からの大学編入について簡潔にわかりやすくまとめていますので、次の進路選びの参考にしていただけると嬉しいです。
高専からの大学編入:概要とポイント
高専卒業生の6割が就職、4割が進学しています。進学の内訳は「大学への編入が25%」「専攻科への進学が15%」です。
クラスの約4分の1が大学に編入しているわけですから、高専からの大学編入はそれほど珍しいことではないということですね。
また、同じ大学に入る場合、一般入試を経るよりも、編入試験を受ける方が難易度が低いという意見もあるようです。
- 高専からの大学編入は、真面目に勉強していればそれほど難しくはない
- 大学の3年次に編入することになる
(大学によっては必修科目の関係で2年次からになることもある)



高専からの大学編入って、想像していたより大変じゃないかもしれないな……。
ちょっとだけ安心したよ。



みんなどういう動機で大学に進学しているのかな…?
- 今までの学びをさらに発展させたい・研究を深めたい
- 大学生としてさまざまな活動に参加したり、自分探しをしたい
- 最終学歴を大卒にしたい
- 就職時の条件を良くしたい
大学に進学する理由は、「自分の学びや時間を大切にしたい」という動機と、「就職などに関する社会的要素の強化を図りたい」という2つの大きな側面があるようです。
大学に編入する方法は2つあり、「編入試験を受ける」「学校から推薦してもらう」のいずれかです。
- 大学編入試験を受ける
- 推薦枠を利用する
編入先の大学によって難易度が違いますが、いずれにしても、日々の勉強を怠らない姿勢が大切です。
高専から主な大学への編入状況一覧
高専からの編入実績のある主な大学をご紹介します。
高専からの編入実績の多い大学は?
高専からの編入が最も多いのは、高専のために設立された大学である「豊橋技術科学大学」と「長岡技術科学大学」です。
ともに国立であるため授業料が安いほか、国立大学卒の資格を得ることができるのがメリットです。
No.1 豊橋技術科学大学


豊橋技術科学大学は愛知県豊橋市にある国立大学で、高専からの編入大学として人気です。高専から最も入りやすい大学と言えるでしょう。
就職に強いとの定評があり、有名企業への推薦が多いことでも知られています。2023年には、「採用を増やしたい大学ランキング」で1位に輝きました。
No.2 長岡技術科学大学


長岡技術科学大学は新潟県にあるため、地方での暮らしが苦にならない方や、自然豊かな環境・ゆったりとしたキャンパスライフを過ごしたい方に向いています。
就職率は100%と言われ、交通の便が悪いこと以外は学生の満足度も高く、自分の勉強に集中できる環境が整っているとの声も多いようです。
編入実績No.10までの大学
多少の変動はあるものの、高専からの編入実績が例年多い大学・残り8校をご紹介します。
3 | 千葉大学 |
4 | 筑波大学 |
5 | 東京農工大学 |
6 | 金沢大学 |
7 | 岡山大学 |
8 | 九州大学 |
9 | 九州工業大学 |
10 | 熊本大学 |
※順不同
高専から編入実績のある大学一覧(50大学)
高専から実際に編入実績のある主な大学一覧です。
大学名 | 人数 | 難易度 | |
---|---|---|---|
1 | 豊橋技術科学大学 | 377 | D |
2 | 長岡技術科学大学 | 329 | D |
3 | 熊本大学 | 73 | C |
4 | 千葉大学 | 57 | A |
5 | 九州工業大学 | 56 | C |
6 | 東京農工大学 | 55 | A |
7 | 岡山大学 | 55 | B |
8 | 九州大学 | 48 | S |
9 | 筑波大学 | 45 | S |
10 | 金沢大学 | 41 | B |
11 | 東北大学 | 38 | S |
12 | 大阪大学 | 37 | S |
13 | 福井大学 | 35 | C |
14 | 京都工芸繊維大学 | 34 | C |
15 | 宇都宮大学 | 31 | C |
16 | 新潟大学 | 31 | C |
17 | 北海道大学 | 29 | S |
18 | 東京科学大学 | 29 | SS |
19 | 信州大学 | 29 | C |
20 | 群馬大学 | 28 | C |
21 | 神戸大学 | 27 | S |
22 | 室蘭工業大学 | 26 | E |
23 | 電気通信大学 | 24 | B |
24 | 三重大学 | 23 | B |
25 | 東京都立大学 | 23 | B |
26 | 立命館大学 | 22 | C |
27 | 横浜国立大学 | 22 | A |
28 | 広島大学 | 22 | B |
29 | 佐賀大学 | 21 | C |
30 | 鹿児島大学 | 21 | C |
31 | 茨城大学 | 20 | C |
32 | 岐阜大学 | 20 | C |
33 | 島根大学 | 20 | C |
34 | 香川大学 | 18 | C |
35 | 東京都市大学 | 17 | C |
36 | 山口大学 | 17 | C |
37 | 山梨大学 | 16 | C |
38 | 千葉工業大学 | 15 | C |
39 | 日本大学 | 15 | C |
40 | 東京大学 | 15 | SS |
41 | 東京海洋大学 | 15 | B |
42 | 名古屋大学 | 15 | S |
43 | 名古屋工業大学 | 15 | A |
44 | 奈良女子大学 | 14 | B |
45 | 北見工業大学 | 13 | E |
46 | 徳島大学 | 13 | C |
47 | 富山大学 | 12 | C |
48 | 山形大学 | 11 | C |
49 | 愛媛大学 | 11 | C |
50 | 岩手大学 | 10 | C |
難易度については、知名度及び客観的データを元に、個人的判断に基づきおよその目安を表示させていただきました。
旧帝大と言われる難関大学や、地方の国立大学、工業大学系が多いことがわかります。
しかし、この表に載っている大学が全てではありません。
家族や学校の先生、先輩や塾の師などともよく相談し、最適な進学先を見つけられると良いですね。
編入には「一般」と「推薦」がある
高専から大学に編入するには、「高専を卒業していること」「編入試験に合格すること」が必要です。
編入試験には、「一般試験」と「推薦試験」があります。
一般試験
編入試験はそれぞれの大学によって内容が異なりますので、募集要項を調べて備えましょう。
数学・物理・科学などの理系科目に加え、専門科目が出題されることもあります。
英語に関してはTOEICの点数を重要視している大学が多いため、英語が苦手な方は対策が必要です。
高専1年生のうちから、成績上位をしっかりと取るようにしておくと良いでしょう。
推薦試験
推薦を実施している大学が対象です。
大学によって基準が異なりますが、高専4年次の成績が上位5~30%以内の席次が必要です。また、大学によっては1年生からの成績を見られるところもあります。
詳しくは学校の先生に確認し、目指す大学の募集要項を確認しておくと良いでしょう。
推薦を受けることができれば合格は堅いとされていますが、他の大学を併願で受けることができない上、合格すれば辞退することはできません。



推薦の場合は、本当に行きたい大学を選ぶ必要があるのね。
高専からの大学編入は、まずは情報集めから
高専から大学に編入するためには、まずは必要な情報を集めることが大切です。
高専から大学への編入は珍しいことではないとはいえ、全国的に見ればレアケースであり、少数派です。
一般高校から大学受験の情報は巷にあふれていますが、高専から大学への編入についての情報は乏しく、また、大学によって募集要項が異なります。
編入に必要な対策にできるだけ早く取り掛かることができるよう、情報収集に手間取ることのないようにしたいところです。
- 行きたい大学や、興味のある学科が設置されている大学を、まずは3~5校程度に絞る
- その大学の編入試験対策を練る
- 必要であれば、先輩のアドバイスを受けたり、行きたい大学の研究室を訪ねる
編入試験の内容は大学によって異なりますので、志望校が決まらなければ、必要な対策を練ることができません。
自分の進みたい専門分野や就職先を考えたり、あるいはそれまでとは全く異なる学科に進むなど、将来に対するイメージや計画を立てるところからスタートです。
高専からの大学編入のための情報サイトとしてZENPEN(全国編入生会構想)というサイトがありますので、必要であれば活用し、編入対策に役立ててください。
まとめ



まずは志望大学を絞るところから始めようかな。



ホントに大学編入するんだ?



うん。やる気が出てきたんだ。頑張ってみるよ!
高専からの大学編入には、さらに勉強を続けたい、大学卒の資格が欲しい、就職に有利にしたい…などさまざまな動機があると思います。
どのような理由があるにせよ、大学は最高学府と言われる教育機関です。
ご自身にとって、あるいはお子さんにとって、最適な選択を行って学問を修め、将来に活かすことができるよう願っています。