高専から大学へ編入する人の割合は、令和5年度のデータによると25%で、4人に1人です。
多くの大学では高専卒業生のための編入枠が用意してあり、試験に合格することで、大学に編入することができます。
つまり、高専から大学への編入というのは、高専生にとって珍しいことではありません。

国立高等専門学校機構
この記事では、推薦で編入試験を受けるための成績要件や、試験内容の概要について解説しています。

僕は大学に進学するって決めたから、推薦を受けられるように頑張らなきゃ。



私も推薦の要件を知りたい!
高専から推薦で大学編入するための要件
高専から大学に編入する場合は、高専在学中に試験を受け、卒業後に大学3年生に編入します。
(ただし、単位認定の都合上、一部の難関大学では大学2年生に編入するケースもあります)
高専は5年制のカリキュラムであるため、卒業時には20歳になっているためです。
推薦で大学編入するための要件について見ていきましょう。
推薦編入に必要な成績要件
推薦を受けることができれば、ほぼ合格確実──。
と言われる高専からの大学編入。
(※絶対ではありません)
しかし、推薦を受けるためには高専での成績が上位であることが必須です。
最も重視されるのが4年生の成績、つまり席次ですが、これは1クラス40人として、上から何番目かということですね。
また、学校によっては1~4年の各学年での席次をみられることもあります。
必要な席次は大学によって異なる
必要とされる具体的な席次については、各大学によって異なります。
以下に、高専からの編入を実施している大学の一例を載せておきますね。
(席次は1クラス40人として計算)
大学名 | 高専での成績 | 席次 |
---|---|---|
旧帝大 | 上位5%以内 | 2位以内 |
東京科学大学 | 上位5%以内 | 2位以内 |
千葉大学 | 上位10%以内 | 4位以内 |
熊本大学 | 上位15%以内 | 6位以内 |
電気通信大学 東京農工大学 京都工芸繊維大学 | 上位20%以内 | 8位以内 |
その他地方国立大学 | 上位25~30%以内 | 10~12位以内 |
旧帝大とは、東京大学、京都大学、東北大学、北海道大学、大阪大学、名古屋大学、九州大学の7大学です。言うまでもなく、最難関の国立大学です。
旧帝大では推薦を実施していないケースも多くありますので、その場合は一般編入試験を目指してください。逆に、九州大学工学部では2025年度入試より一般枠がなくなり、推薦のみの実施となりました。
地方の国立大学などは上位20~30%以内で推薦を受けられるところが多いようです。



うわ~大学名がずらっと並んでいても、
全然わからない……



大学について調べるところからスタートだね。
学部は工学部がスムーズ
大学には高専よりさらに多くの学部・学科がありますが、高専卒生が編入するのは、圧倒的に工学部が多いです。
それは、高専のカリキュラムが工学系の内容を多く含んでいるため、大学工学部への編入が比較的スムーズだからです。
工学部は高専で習ってきたことの延長線上であり、学びをさらに発展させていくイメージですね。
もちろん、理学部や情報学部、経営学部など他の学部に編入する場合もあります。その場合は、さらに下調べや試験準備が必要です。
成績が足りない場合は?



推薦の成績が足りなかったらどうしたらいいの?



普通に一般編入試験を受ければいいんじゃないかな。
成績が多少不安でも、高専1年生であればまだまだ時間はあります。
勉強の仕方を見直して成績を上げることができれば、希望の大学の推薦を受けられる可能性は充分あるでしょう。
しかし、3~4年生で思ったように席次が伸びない場合は、戦略を練り直す必要が出てくるかもしれません。一般で編入試験を受けたり、大学ではなく専攻科に進むという選択肢もあります。
できるだけ情報を集め、周囲と相談しながら最適な進路選びをしていければいいですね。
大学編入の推薦枠での試験内容
大学編入における、推薦枠での試験内容についてです。
一般的な推薦試験の内容
推薦試験は、基本的に口頭試問と面接で行われます。
口頭試問とは、志望する学部や学科に関する専門知識や理解度を口頭で問う試験です。
また、面接では志望動機やこれから研究したい内容、高専で勉強してきたことなどが聞かれることが多いようです。また、TOEICの点数が必要となるケースも多くあります。
その他、小論文やグループディスカッションを行う学校もあるようですので、狙いを定めた大学の募集要項に沿って対策を進めていきましょう。



何だか大変そうだけど……



そうだね。でも、わりと簡単だったっていう声もあるんだよ。
編入の募集要項から試験内容を把握しよう
試験内容を把握するために、大学の募集要項に目を通してみましょう。
多くの情報が得られると思います。
一例として、東北大学工学部の「3年次編入学試験学生募集要項」の抜粋を見ていきます。
【参考:東北大学工学部「3年次編入学試験学生募集要項」 一部抜粋】
3年次編入学
引用元:東北大学
工学部の理念を具現化するため、安全安心で豊かな社会と人類の持続的発展に自ら気概を持っ
て貢献する人を育成します。この教育目的に沿って、高等専門学校出身者(卒業見込みを含む)
等を対象に選抜を行います。
(学校推薦特別選抜)
引用元:東北大学
出願書類審査では、高等専門学校等の教科成績、学校内外の様々な学習成果や活動実績、資格
等を評価します。
口頭試問や面接では、専門分野を含む基礎学力、物理や化学を含む自然科学の理解度、専門分
野を含む科学技術についての知識、独創性やひらめき、コミュニケーション能力、学問・研究に
対する熱意・積極性、視野の広さ、倫理観等について評価します。
学校推薦特別選抜
口頭試問・面接の結果及び調査書等提出書類の内容を総合的に判定します。
○試験科目・内容等
学科・コース 試験内容 機械知能・航空工学科 口頭試問
(機械知能・航空工学に関する基礎知識)
及び面接電気情報物理工学科 口頭試問
(電気情報物理工学に関する基礎知識)
及び面接化学・バイオ工学科 口頭試問
(化学・バイオに関連する科目等に関する基礎
知識)
及び面接……以下略……
引用元:東北大学



大学によって、試験内容にかなり違いがありそうってことがわかったわ。
まずは志望校を絞らないと、対策も決まらないってことだよね。



そうだね。
大学編入の過去問はやっておいた方がいいみたいだから、高専の先生や先輩に聞いてみようかな。
「ZENPEN」というサイトでは大学編入を目指す高専生のための情報が掲載されていますので、各大学への編入体験談なども参考にしてみてください。
まとめ
高専から大学への編入試験は、推薦と一般があります。高専での成績が上位の人から推薦を受けることができますので、推薦枠を狙っている人は、入学時からその意識で取り組んでみてください。
ただし、推薦での受験は合格すると、基本的にその大学に進学しなければなりません。
一方、一般編入試験の場合は複数校を受験することができ、合格すれば好きな大学を選ぶことができます。ただし、当日の試験科目が多くなる傾向です。
どちらがいいかは、ケースバイケースです。学校や塾の先生・保護者の方など、周囲の方と相談しながら最適な方法を選んでくださいね。



大学生か~。夢がふくらむなあ。



まだ早いよ。頑張ろうね!
高専からの編入実績のある大学(国公私立)のランキングは、以下の記事でご紹介しています。進路選びの参考にしてみてください↓

