高専中退を決める前にすべきこととは? 高卒認定試験についても解説

勉強についていけない、楽しくない、思っていたような学校じゃなかった──。

夢膨らませて高専に入学したものの、環境が合わないと、つい「中退」が頭をよぎることがあるかもしれませんね。

しかし、高専を中退するとなると中途半端な立場になるため、将来への不安を強く感じるのではないかと思います。

この記事では、「高専中退を決める前にすべきこと」と、「高卒認定試験」について解説しています。

高専に合格したあなたなら、何とか頑張って踏みとどまることも、あるいは、もっと自分に見合う道び直す力も備えているはずです。

陽翔(はると)

え、中退考えてるの?
水くさいなあ。まずは相談してよ。

凜(りん)

この記事の内容も参考にしてね。

目次

高専中退を決める前にすべきこと:立ち止まって考えること

高専は専門教育の場であるため、向き不向きがあります。

合わない環境で学び続けるのは辛いかもしれません。

しかし、せっかく高専受験をして合格し、家族など周囲の人の理解のもと、高専に通うことができたわけです。

中退するのは簡単ですが、その時の感情だけで判断するのではなく、立ち止まって、一度じっくりと考え直してみてはいかがでしょうか?

中退を決める前に身近な人や知恵袋で相談する

大事な事柄を自分ひとり(の思い込み)で決めてしまうと、情報や判断が偏っていることもあります。

凜(りん)

まず、自分が置かれた状況や今後どうしたいかなど、誰かに説明できるようにまとめてみてね!

家族や先生、友達など身近な人に相談したり、知恵袋に投稿するなどして、意見を聞いてみてください。

中には厳しい意見もあるでしょうが、心を開いてじっくり考えてみると、「確かに」「なるほど」と思えることが必ずあるはずです。

最終的に決めるのはあなた自身ですが、ぜひ実際に中退した人の意見や、大人のアドバイスを受けてみてください。

他人の意見を聞くことで新しい視野が開けたり、逆に、抱えていた不安や迷いが吹っ切れるかもしれません。

中退後の人生設計

中退する前に必ずやっておきたいこと。

それは、「高専を中退した後の人生設計をし直すこと」です。

高専に入学した時に、思い描いていた将来図があると思います。

中には「そのまま同じ大学を目指す」という方もいるかもしれません。

しかし、大抵の場合は中退することで「高専卒」の切り札を使えなくなり、計画の変更を余儀なくされるはずです。

高専を中退しても選択肢はたくさんありますし、人生を諦める必要もありません。

でも、

「何が自分の人生にとって最も良い選択肢なのか?」を考え

「そのためには何をすればいいのか?」

頭を使ってしっかり次の計画を立てることが大切です。

陽翔(はると)

高専を中退するのは、
「これでいける!」
って思える見通しを立ててからにしてくれよな。

そして、周りの人の手助けを得ながら、実際に行動し始めると、思っていたよりも案外すんなりと物事が動き出すかもしれません。

立ち止まって考えるその「ひと手間」が、あなたのその後の人生をより良いものにしてくれと思います。

高専中退の学歴は中卒? それとも高卒?

高専を中退する時に最も気になるのが、「中卒になるの? それとも高卒?」というところではないでしょうか。

結論をお伝えすると、「中卒」扱いになります。

「高等専門学校3年次修了」を貰えた場合でも「高校卒業程度の学力を有している」ことが証明されるだけであって、高卒にはならず、やはり「中卒」扱いになります。

ですから、たとえ留年したとしても、何とか粘って卒業までもっていけるのであればそれがベストでしょう。

陽翔(はると)

中退して他にやりたいことがないのなら、頑張って卒業した方が良さそうだよね。

凜(りん)

うん。親や進路の先生と相談だね。

高専中退後の進路は、「進学」がベター

しかしながら、もし中退を決めてしまった場合の進路は、公務員を目指す場合は別として、高校や大学、専門学校などに進学するのがベターです。

就職がおすすめでない理由は2つあります。

  • あとから後悔することになるかもしれないから
  • 学歴がまだまだ重視される社会で、「高専中退」は理解されにくい立場になるから
  • 進学しない場合、高専での専門分野で就職することになってしまうから

高専を中退する理由は「留年した・勉強についていけなくなった」というケースが最も多いようです。

高専生は、中学時代にはおそらく成績上位であったはずです。

勉強についていけなくなった理由は、ひょっとして専門科目が合わないと感じたか、興味がなくなったからではないでしょうか?
その結果、好きなことやバイトに明け暮れたり、生活習慣が乱れるなどして、勉強のリズムが崩れている可能性もあります。
(もちろん、全員に当てはまるわけではありません)

ですので、もしそのまま就職しても、興味が持てなかったはずの高専の専門分野で働くことになってしまうため、すぐに辞めたくなってしまって、また同じことが起こりかねません。

進学して環境を変え、本当に興味の持てる分野を学べば楽しさを感じられるでしょうし、何よりも学歴を積み上げることができます。

「高卒認定試験」 の取得を目指そう

高専を中退した方は「高卒認定試験」 を受けることをおすすめします。
(なお、普通高校に進学・編入する場合は別です)

「高卒認定試験」を取得したからといって高卒扱いになるわけではありませんが、高校を卒業したのと同程度の学力を証明するものとして、その後の選択肢でさまざまな可能性を広げてくれます。

また、それとは別に、高専3年生までの単位をきちんと取得した場合に「高等専門学校3年次修了」という身分になることができます。

「高等専門学校3年次修了」とは?

高専3年次を修了すると…

  • 「高等専門学校3年次修了」の証明書を学校で発行してもらえ、高卒程度の学力を有していることが証明される(ただし、高卒資格ではない)。
  • 大学受験をする資格がある。
凜(りん)

「高卒認定試験」はとりあえず受けておいた方が間違いないってことだよね?

陽翔(はると)

そうだね。でも、「高等専門学校3年次修了」で大学を受験して合格した場合は、結果的にいらないかな。

凜(りん)

そっか~その手もあるよね。
どの進路に進むか、先に考えておかないといけないね。

高卒認定試験について

高卒認定試験、すなわち「高等学校卒業程度認定試験」は、文部科学省によると次のように説明されています。

この試験は、いろいろな理由で高校等を卒業していない人のために、「高校を卒業した人と同等以上の学力があるかどうか」を文部科学省が認定する試験です。
高卒認定試験に合格すると、大学・短大・専門学校の受験資格が得られます。就職や資格試験の受験にも活用できます。

引用元:文部科学省 高等学校卒業程度認定試験

平成30年とやや古いデータではありますが、「最終学歴別出願者の割合」では、高校中退が約50%、定時制・通信制高校在学中で19%、高専中退者は全体の1.1%となっています。

文部科学省 高等学校卒業程度認定試験
受験資格

「16歳以上になる大学入学資格のない人」
高専1年生からでも試験を受けることができます。

試験科目

8~10科目
※1回の試験で全ての科目に合格する必要はなく、合格科目を累積していくことができます。

なお、高専で修得した単位については、試験科目の免除を受けることができます。

それまでの学校での勉強が無駄にならないのがいいところです。

詳しくは文部科学省のサイトなどで確認してください。
参考:免除要件

高卒認定試験の合格率は?

高卒認定試験の合格率は40%台です。

年度別の合格率は、令和3年度が45.7%、令和4年度が46.4%、令和5年度が47.2%です。

40%台というと半分以下なので「合格率が低めでは?」と思いがちですが、一般的に資格試験などでも、合格率が40%以上のものは簡単とされています。

じっさい、高卒認定試験の試験内容は中学~高校1年レベルの基礎学力を重視し、出題範囲は広いものの、難易度はそれほど高くありません。

油断は禁物ですが、高専生が真面目に試験対策をすれば、まず間違いなく合格できると見ていいでしょう。

高卒認定試験を取得するメリット

高卒認定試験を取得するメリットは、以下のとおりです。

高卒認定試験を取得するメリット
  • 大学・短大・専門学校の受験資格が得られる
  • 高卒と同程度と見なされ、就職に有利になる
  • 受験できる国家試験・採用試験が一気に増える

進学・就職いずれにも有利にはたらく上、多くの資格試験や国家試験の受験資格を得ることができます。

高卒認定試験は「高校を卒業した人と同等以上の学力があるかどうか」を客観的に判断するものでしたね。

この資格を持つことで、自他ともに安心感を感じ、社会からの信頼を得やすくなります。

高卒認定試を受けるデメリットは「試験対策が必要」という程度のものであり、むしろ取得しない方がデメリットが大きいでしょう。

まとめ

高専を中退する人は、毎年クラスに1名~数名いると言われています。

他にどうしてもやりたいことがある場合は、「前向きな中退」として、家族や友人が応援してくれることと思います。

しかし、勉強についていけないことだけが理由なら、高専という恵まれた環境を中退するのは実はもったいないのです。

よく考え、必要であれば考え方や行動を見直し、ご自身にとって一番良い選択ができるようにと願っています。

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